OSSの開発者

再びよしおかさんのところ
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20060307#p1

OSS開発者の一週間のOSS開発時間をhttp://oss.mri.co.jp/floss-jp/にて
調査したそうだ。

5時間以下が61.7%と大半をしめる。0時間も8.5%である。むむむ?開発時間が0時間の人は普通開発者とは呼ばないぞ?週5時間以下というのも、OSSを利用していてちょっとしたツールを開発するとか機能を拡張するとかいうイメージであり、がしがし開発しているという感じとはほど遠い。

なるほど。私の場合は、週によってだいぶ違うなぁ。
多い時は、8時間x5 休日4時間ぐらいで、40時間ぐらい。
逆に、設計や考察やってる時は、コード書きは0時間。
平均すると20時間ぐらい??

先日のMozilla Japanでの議論でもFirefoxそのものの開発は中野さんとあと一人二人で、もじら組をはじめとするコミュニティの人たちはヘビーユーザ、エバンジェリスト等々という感じであった。OpenOffice.orgの中田さんのお話でも日本での開発者の実数はその程度であった。Samba-jpも似たような感じ。

SELinuxの場合は、
本家にコードを出したことがある人は4人(私、kaigaiさん、intrajpさん,NTT DataさんのIDS拡張)か。
ユーザーとして表に出てくる人も少なく、こっそり使っているっぽい。
本家の人に、
「日本では、SELinuxを使ったビジネスをやってるくせに、フィードバックがないとは何事か」
のように言われる。

解決策はすぐには思いつかないが、最初のステップとして問題を正しく理解する必要があり、その認識がづれていると方向が定まらない。

なるほど。

OSSの優れているところは、ライセンス問題というよりも、バザールモデルが起きたときに、多数のカジュアルな開発者がちょっとした自分の問題をパッチという形で実装しコミュニティに還元するというメカニズムである。パッチを作成できるというのはまさにライセンスの優れたところなのではあるが、バザールが発生しない限り、OSSの本当の強みは発揮できない。これをエコシステムといったりするが健全なエコシステムをもつOSSは自立的な持続可能性を持つ。
繰り返すがエコシステムには多数の開発者、すなわちコア開発者とおびただしい数のカジュアルな開発者が必要なのである。おびただしい数の開発者が試行錯誤を繰り返すといういわばソフトウェア開発におけるロングテール現象が発生したとき、そのOSSの開発モデルは従来型のソフトウェア開発によって生み出されるソフトウェア製品を凌駕する可能性を秘めるのである。

SELinuxの場合は、ちょっと特殊かもしれない。
アメリカの国プロジェクト」「アメリカ企業のビジネス」として推進されている側面が強い。
なので、開発サイクルが、「仕事でやっているコア開発者」に閉じているかも。
カジュアル開発者は、少数な気がする。
とはいえ、OSSなことは、仕事上の共同作業にも便利に働いているとは思う。

また、「趣味の開発者が手を出しにくい」領域な気がする。
例えば、趣味で、Common Criteriaを勉強するとは思えない。
そうなると、仕事でやっている人々を表に引っ張り出すことが重要になる。
問題は以下の2点か?

  • 企業の文化として、仕事で調べたことを外に出すことが許可されない
  • 表に出て議論するのが個人的に苦手

これを解決するには、
企業が人を出しやすいよう、かつ団体を仲介して発言もできるよう、
SELinux開発議論のための開発者組合みたいなものを作る手もあるが、
変な偉い人たちが出てきて、
なにやら利権が絡んだ怪しげなものになる可能性もある。